退屈な毎日

退屈な毎日。
  コピー機から流れ出る書類のような毎日。
  野々村サヤカはベッドに横になったまま、ため息をついた。
  恋人なし、独り暮らし、適齢期を逃したOLの毎日には、何の変化もない。

 

2月11日。
  朝起きて、シャワーを浴びて比較的空いている電車に乗って、出社する。
  コピーとお茶汲み、あとは社内の在庫管理と、出納書類のまとめ。
  そのうちに昼になり、社食のランチを食べて午後の仕事へ。
  残業がないように、しかし頑張りすぎないように仕事を済ませて退社。
  少し窮屈な電車から降りて、暗くなった商店街を歩く。
  決まった道を曲がり、路地を横目にくたびれたハイヒールで歩いていく。
  路地には生ゴミがこぼれていて、時々猫がサッと逃げ去る。
  少しくねった坂道を上り、もう一度曲がったところにあるアパートに着く。
  階段で203号室まで上り、扉を開けるとベッドに倒れ込む。
  リモコンでテレビを点けて、不景気不景気と同じ事をしゃべっているニュースを見ながら、食事を簡単に作り、食べて寝る。

2月12日。
  朝起きて、シャワーを浴びて比較的空いている電車に乗って、出社する。
  コピーとお茶汲み、あとは社内の在庫管理と、出納書類のまとめ。
  そのうちに昼になり、社食のランチを食べて午後の仕事へ。
  残業がないように、しかし頑張りすぎないように仕事を済ませて退社。
  少し窮屈な電車から降りて、暗くなった商店街を歩く。
  決まった道を曲がり、路地を横目にくたびれたハイヒールで歩いていく。
  路地には生ゴミがこぼれていて、時々猫がサッと逃げ去る。
  少しくねった坂道を上り、もう一度曲がったところにあるアパートに着く。
  階段で203号室まで上り、扉を開けるとベッドに倒れ込む。
  リモコンでテレビを点けて、不景気不景気と同じ事をしゃべっているニュースを見ながら、食事を簡単に作り、食べて寝る。

2月13日。
  朝起きて、シャワーを浴びて比較的空いている電車に乗って、出社する。
  コピーとお茶汲み、あとは社内の在庫管理と、出納書類のまとめ。
  そのうちに昼になり、社食のランチを食べて午後の仕事へ。
  残業がないように、しかし頑張りすぎないように仕事を済ませて退社。
  少し窮屈な電車から降りて、暗くなった商店街を歩く。
  決まった道を曲がり、路地を横目にくたびれたハイヒールで歩いていく。
  路地には手首が落ちていて、サッと誰かの手がそれを拾いあげる。
  少しくねった坂道を上り、もう一度曲がったところにあるアパートに着く。
  階段で203号室まで上り、扉を開けるとベッドに倒れ込む。
  リモコンでテレビを点けて、久しぶりに大きな事件があったらしく「バラバラ殺人」と怒鳴っているニュースを見ながら、食事を簡単に作り、食べて寝る。  

何もない毎日。
  退屈で死にそうな毎日。

 

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