その村は荒れ地を開墾して、なんとかやっていた。
草の根をかじるような日々を村人たちは暮らしていた。
一年後。
政府の要請により、その村に巨大な、外貨獲得のための食品加工場が誘致された。
近隣の村人たちが集まり、村はいっぺんに活気づいた。
作業は比較的簡単なモノで、全身を衛生服に包み、指定された食材を組み合わせて、冷凍して出荷するだけだった。
二年後。
工場は軌道に乗り、在庫管理や経営管理などの仕事も村人たちに託された。
そのため、ほとんどの工員は持ち出し禁止のはずの食品たちをこっそり持って帰って、自分の家での食事に使うようになっていた。
現在。
村は廃村となっていた。
子供が産まれなくなり、少子化が進んだためだった。
しかし、工場は相変わらず黙々と冷凍食品を吐き出し、そのほとんどが隣国の小さな島国へと送られている
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