奈美枝の留守番電話に、気味の悪いメッセージが入るようになってから1ヶ月が経っていた。
いつも、奈美枝が居ない時に限って、かかって来ていた。 男か女かもわからない。 夜に帰って来て、その留守番電話を聞くのは気味が悪かった。 「ねえ、電話番号換えようと思うんだけど」 「うーん、どれくらいかかってくる?」 拓也とつきあい始めてから2年になるが、不思議と、この薄気味悪い電話の話になると言葉を濁す。 「とりあえず、もうちょっと我慢してみ。そのうち、かけて来なくなるって」 それでも、ずっと電話は続いた。 拓也は相変わらず「ほっとけ」と言うが、奈美枝は我慢が出来なくなっていた。 実家の兄に相談の電話をしてみた。 『ふーん、そりゃ気味が悪いな。よし、最近は興信所とかで電話履歴とか調べてくれるらしいから、ちょっとやってみるわ。ヤバイ事になった後じゃ、遅いからな』 それから2週間ほどして、兄から電話がかかってきた。 『あのさ…調べたんだけど…』 奈美枝は手の中で、受話器が凍り付くような感じがした。 「私の携帯からって、どういう事よ!」 受話器の向こうで、兄が息を飲むのが聞こえた。 『拓也って、お前のカレシの?』 『お、おまえ、拓也って、半年前に事故で死んだじゃん』 奈美枝の耳には、もう兄の声は入らなかった。 「拓也…拓也…拓也…拓也……拓也…… |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||