香奈は葬式の帰り道、プリクラがびっしりと貼り敷き詰められた手帳をめくっていた。
自殺した実咲のプリクラ帳だ。 香奈と実咲はプリクラ友達だった。 香奈はパラパラと、実咲のプリクラ帳をめくりながら、夜道を帰っていた。 知った友達の顔や、知らない人たちの顔が、色々なフレームに縁取られているのが見える。 実際、実咲も知らない人のプリクラも多いはずだ。 ふと、香奈は<実咲の最後に集めたプリクラ>とは何だったのだろうか?と興味を惹かれた。 妙なプリクラだった。 これが、実咲が自殺する前に貼ったプリクラ?と香奈は思った。 それは、見たこともない中年男のプリクラだった。 「なにこれ」 次の瞬間、ある事に気づいて、香奈は悲鳴を上げ、形見のプリクラ帳を投げ捨てていた。 プリクラに写っていた男、その鼻の穴に綿が見えたのだ。 |
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