プリクラ

 
香奈は葬式の帰り道、プリクラがびっしりと貼り敷き詰められた手帳をめくっていた。

 自殺した実咲のプリクラ帳だ。
  実咲のお母さんから、「形見だと思ってもらってやってください」と言ってゆずり受けたモノだった。

 香奈と実咲はプリクラ友達だった。
  いや、ライバルに近いものだ。
  一枚でも多く、一ページでも多く手帳に貼り付けるのを競いあっていた。
  今、手に持っている実咲のプリクラ帳はズシリと重く、同じくらい重く分厚いプリクラ帳を香奈も持っている。

 香奈はパラパラと、実咲のプリクラ帳をめくりながら、夜道を帰っていた。

 知った友達の顔や、知らない人たちの顔が、色々なフレームに縁取られているのが見える。

 実際、実咲も知らない人のプリクラも多いはずだ。
  なにしろ、香奈にプリクラ数で勝つために、実咲は拾ったプリクラまで貼っていたのだから。
  プリクラの機械に貼ってあったモノや、電話ボックスガードレールに貼ってあったモノを見つけては貼っていた。

ふと、香奈は<実咲の最後に集めたプリクラ>とは何だったのだろうか?と興味を惹かれた。
  パラパラとプリクラ帳をめくり、最後のページの最後のプリクラを見た。

 妙なプリクラだった。

 これが実咲が自殺する前に貼ったプリクラ?と香奈思った。

 それは、見たこともない中年男のプリクラだった。
  歳に似合わず、花柄のフレームのプリクラで、しかも撮影に失敗したようで、男は目を閉じていた。

「なにこれ」
  思わず、香奈はつぶやいていた。

 次の瞬間、ある事に気づいて、香奈は悲鳴を上げ形見のプリクラ帳を投げ捨てていた。

 プリクラに写っていた男、その鼻の穴に綿が見えたのだ
  花柄フレームだと思っていたのは、ぎっしり敷き詰められた菊の花

  これは、棺桶に納められた死体のプリクラだった。

 

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