H山の麓近くに、細い峠道がある。
人が一列にしか通れない、実に細い道だ。 その道には、色々と気味の悪いウワサがあった。 その一つに「女の声」がある。 そして、誰が呼んだともなく、そこは「女峠」と呼ばれていた。 ある日、そんなウワサを知らない男女が、その峠道を下りていた。 男が先を歩き、その後ろを女が歩いている。 道の左右を、鬱蒼とした森が生い茂り、昼でも暗い道だ。 「佳也子さん、ちょっと薄気味悪いね」 しばらく峠道を下っていくと、気味の悪い音が聞こえてきた。 笹がこすれているようでいて、もっと生物的な、気味の悪い音だ。 男が耳を澄ますと、それは女の笑い声のようだ。
それは峠の上の方、つまり後ろから追いかけるように聞こえてくる。 「か、佳也子さん、後ろは危ない。前を歩いて」 女・男の順で、峠道を下りていく二人。 すると、今度は峠道の下から、気味の悪い女の笑い声が聞こえる。 男は すると、今度はまた、後ろから女の笑い声が聞こえてきた。 男は気づいた。 気味の悪い女の笑い声を聞きながら、ただじっと二人は峠を下っていった。 峠を過ぎると。ピタリと笑い声は聞こえなくなったという。 |
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