チン! 午後10時。 由里は極度の暗闇恐怖症だった。 目を閉じたまま、〔1F〕のボタンを押し、〔閉〕のボタンを押す。 もう安心。 由里は扉の上の階数表示を見た。 8階……7階……6階……5階…… そう言えば、あの通り魔って捕まったのかな。 4階……3階……2階…… 1階。 階数表示が1階を示し、チン! と音を立ててエレベーターが止まった。 扉が開く。 黒づくめの男が立っていた。 通り魔!! 由里はすぐにエレベーターの〔閉〕ボタンを連打した。 包丁が男の頭上に来た。 早く!早く閉まってよ! 男は頭の上で包丁を持ち替えた。 早く!早く! 男がゆっくりと一歩こちらへ近づいて来る。 扉はあと5センチほど開いている。 すぐに、元いたフロアの〔8階〕のボタンを連打する。 ゆっくりと、エレベーターが動き出し、階数表示が1階から2階へと変わった。 た、たすかった・・・・ 指が止まった。 このビルの造りは、各フロアとも同じ。 由里は、ゆっくりと、ゆっくりと、振り返った。 その眉間に包丁が突き立った。 |
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