「…美味かったよ」
「そう…」
「二人の最後の食事がカレーライスってのは、しまらなかった感じだけど」
「…本当に別れないといけないの?」
「俺だって別れたくない。でも、お前が産むって言うから」
「堕ろしたら、別れない?」
「ああ、俺も本心は別れたくないもんな」
「…わかった」
「…堕ろして…くれるのか?」
「うん」
「本当に?」
「本当はね、もう堕ろしたの」
「…そうなのか」
「これからは、死んだ子の分まで、あなたを愛するわ」
「死んだ子の分まで?」
「ええ、だって、たった今、その子はあなたの血と肉になったんですもの」