5通のメール、その後

※注意※
繰り返しになりますが、この話はわたくし「からす」の完全オリジナルです。現実の事件・人物などとは一切関係ありません。
文中にありますアドレスも、普通のサイト様で、なんの関係もありませんのでご了承ください。

沢渡貴文は、激しい衝動を抑えつけていた。
殺人衝動だ。

彼は快楽殺人者だった。
これまで、多くの女性を殺してきた。凶器はナイフ、死体処理にはノコギリと鉈を使う。
ナイフが柔らかな女性の肌を切り裂く時には、得も言われる恍惚感を感じる。
いや、はっきりと言ってしまうと、女性の体にナイフを突き立てるのは、ペニスを挿入するセックスの何倍も性的興奮を感じる。実際に、殺害時に射精をしたこともある。

しかし、今はその衝動を必死に堪えていた。
一度に二人の女を殺したのがまずかった。
一人は、自分の妻、祐子。
もう一人は、妻の友人、川井香奈。

まずは、死体を隠しておいた場所を見つけだした妻を殺した。
そして、以前から妻の様子を怪しんでいた沢渡は、パソコンのメールソフトに細工をして、送信メール済みメールが他のフォルダにもコピーされるようにして、その友人である香奈の存在を知った。
そして、川井香奈という女を自宅まで来させて、殺した。

一度に、身の回りの人間を二人も殺してしまったのでは、さすがに警察の目が向く可能性がある。
実際、妻の失踪届を出した時にも、2時間以上の尋問をされてしまった。

まあ、しかし、死体が見つからないということで、警察も本格的には動き出せないようだった。

死体処理は、簡単だった。
物置の中で死体を細切れにして、あとは血が乾燥するまで放置しておく。
ある程度、血が乾いたら、軽く縛ったゴミ袋に入れて、何回かに分けてゴミ収集場に出すだけだ。

死体はゴミ収集車が来る前に、消えてなくなる。
死体を消してくれるのは、カラスだった。
生ゴミを収集する時に限ってカラスたちがやってきて、肉を食べていく。

最初は数羽だったカラスも、肉の在処が分かったせいか、十羽、二十羽と増えていき、死体を3分の一捨ててしまっても、1時間もせずに食べ尽くしてくれる。

殺人衝動を抑えつけてから数ヶ月以上が経ったが、そろそろ再開しないと爆発しそうだ。
警察もあまり動けていないようだし、ネットなどでニュースを見る限り、大したニュースにはなっていない。
と、ふと、沢渡はニュースサイトの記事に目を止めた。
近所のニュースが掲載されている。

化け物だ
化け物を誕生させてしまった。
これでは、まだ殺人衝動を抑えておくしかない。
沢渡は、呆然と立ち上がり、書斎から出ていった。

 

『それ』はじっと見つめていた。
あの肉の味…
忘れられない味…
それが、たっぷりと詰まった箱が流れてくる。
あれを潰せば、たっぷりの肉に思う存分食らいつく事が出来る。

 

誰もいない沢渡貴文の書斎。
パソコンは点いたままだった。
ブラウザも起動したままで、そのアドレス部分にはニュースサイトのアドレスがあった。
http://www.47news.jp/CN/200505/CN2005052401001959.html

 

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